第5回 交響曲第3番ハ短調 Op.78「オルガン付き」について

 今回は、虹のコンサートでの演奏曲目についてのお話しです。

 この曲は、1886年、サン=サーンスが51歳の円熟期にさしかかった頃に書き上げられました。
彼が交響曲第2番を作曲したのは弱冠24歳の時ですから、実に27年ぶりの交響曲ということになります。この曲はサン=サーンス自身の指揮でロンドンで初演され、空前の大成功を収めました。これをきっかけに、それまでフランス音楽において地位の低かった「交響曲」は、作曲者を語るに欠かせない重要なジャンルへと昇格したのです。

 この曲の最大の特徴は、「オルガン付き」というタイトルの通り、オルガンとオーケストラの共演作品であるという点です。前述のとおり(前回のトリビアをお読みくださいね)パリでオルガン奏者として活躍していた経験を持つサン=サーンスはオルガンの効果的な鳴らし方を知り尽くしていたのでしょう。単なる音量増強要員としてでなく、オルガンを時にはソロ、時にはオーケストラの一部として大活躍させています。

 曲は2つの楽章から成っており、それぞれを2つにわける全4部構成となっています。
第1楽章、第1部の静かで神秘的な短調から始まり、第2部の美しいオルガンのハーモニーの祈るような優しい旋律を経て、情熱的で激しいメロディーの対話から第2楽章へ入ります。第4部のフィナーレではそれまで短調だったテーマが長調に変わり、高らかに響き渡るファンファーレとして甦り、最後はオルガンと一体となって大音響の中で全曲が締めくくられます。

 今回のコンサートではこのうちの第2楽章第2部、フィナーレ部分のみを演奏します。ですから、初めてこの曲を聴かれる方、「これのどこが短調じゃい!」と思わないでくださいね。また、残念ながら本物のオルガンを使用することもできません。でも、オルガン部分のみならずオーケストラ(バンド)も少しでも本物に近づけるよう、メンバー一同頑張ります!

 次回のトリビアは、サン=サーンスシリーズ(いつの間に!?)第3弾として、「バッカナール」についてお送りする予定です。

ひとことトリビア次回につづく。



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