「バッカナール」(歌劇「サムソンとデリラ」より)について
「サムソンとデリラ」は旧約聖書の物語に基づいて、サン=サーンスが作曲したオペラです。
まずは、この物語のストーリーを紹介しましょう。
舞台はイスラエル。当時、ヘブライ人はパレスチナの先住民であったペリシテに支配され、
奴隷扱いを受けていました。ヘブライの救世主として神の啓示を受けた士師サムソンは、
その怪力をもってイスラエル解放のために大活躍していました。しかし彼には致命的な弱点が
あったのです。彼はソレクの谷の妖艶の遊女デリラに恋し、彼女のところに入り浸っていました。
サムソンを憎むぺリシテ人たちに買収されたデリラは、サムソンの怪力の秘密がどこにあるのか
聞き出そうとしますが、再三の試みにも関わらず彼はそれを明かしません。ある日、ついにデリラ
に「愛している」と口走ったサムソンに、デリラは涙ながらに秘密を明かすよう迫り、サムソンは
ついに彼女に秘密を話してしまいます。それが彼の命取りになってしまいました。その秘密とは、
彼の髪の毛にあったのです。ぺリシテ人に髪を切られて無力になったサムソンは捕らえられ、両眼
をえぐり取られ、青銅の足かせをはめられてダゴンの神殿でぺリシテのなぶりものにされました。
サムソンが最後の声を振り絞って神に祈ると彼の怪力が甦ったので、宮の柱をゆり動かして神殿を
崩壊させ、その場にいた数千人のぺリシテもろともに、自身をも犠牲にして復讐を果たす形で息絶
えたのです。
この物語は、映画化もされているようですが、そちらでは多少脚色されている部分もあるようです。
興味のある方はご覧になってみてくださいね。
「バッカナール」はこのオペラの中で、ぺリシテがサムソン率いるヘブライに勝利を収め、
ダゴン神殿で美酒に酔う場面を描いた、にぎやかな音楽です。
曲調はヘブライ的旋律と躍動的な旋律で構成されています。オーボエのソロ(カデンツァ)で
始まり、2つの主題が交互に現れ、情緒あふれるやさしい緩やかな部分をはさみ、最後はヘブライ
的旋律を高らかに歌い上げ、激しく加速しながら曲を終わります。
とても聴きやすく、親しみやすい曲です。吹奏楽コンクールで演奏されることも多く、この曲を聴くと
若かりし頃を思い出すという団員が数名居るとか居ないとか・・・。
物語を思い浮かべながら聴いてみてください。
3回にわたってお送りしましたサン=サーンスシリーズ、皆さんに惜しまれつつ(?)最終回を迎える
ことになってしまいました。また次回をお楽しみに!
ひとことトリビア次回につづく。
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